日経フォーラム「アジアの未来」2025 (5.29/30)

2025年5月29日、30日の2日間にわたり東京の帝国ホテルにて日経フォーラム「アジアの未来2025」が開催されたアジアの各地域から政治指導者や専門家が一堂に会し、アジアが直面する課題や将来の展望について、洞察に富んだ講演と深い議論が展開された。
日本の石破茂首相は、包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)の枠組みを拡大することの重要性を訴えた。世界的に保護主義や内向きな傾向が強まる中で、自由、公正、かつルールに基づく国際経済秩序の維持において、日本が主導的な役割を果たす必要があるとの姿勢を明確にしたものである。
フォーラム全体を通して繰り返し強調されたメッセージは、アジアが再び世界経済成長の重要な原動力として台頭しているという事実、そしてその影響力の拡大に伴い、アジアがこれまで以上に重大な責任を担っているという点であった。経済統合の推進は依然として不可欠であるが、多くの登壇者は、地域の恒久的な平和と安定を実現するには、各国間の相互信頼の構築が不可欠であることを訴えた。
特に印象的であったのは、国や立場を問わず、多くの講演者が「共に(Together)」という言葉を強調していた点である。この共通の表現は、アジアが直面する共通の課題に対して、連帯・協力・包摂的な進歩を求める共通の志向性を象徴していたと言える。
アジアが今まさに世界の舞台で主導的な役割を果たすべき時代にあることを改めて印象づけるものであった。アジアの果たすべき責任の深化と、計り知れない可能性について深く考える機会となった。地域の平和と繁栄の実現には、各国政府の取り組みにとどまらず、企業、学術界、市民社会の間における積極的かつ持続的な連携と協働が求められる。
本フォーラムを通じて得られた多くの洞察と示唆は、私自身が現在取り組んでいる研究・教育・国際協力の活動に、さらなる意欲をもたらす契機となった。(東京2025.5.30Thuy)

登壇者(敬称略)
トンルン・シスリット(ラオス 国家主席)
スランゲル・ウィップス(パラオ 大統領)
フン・マネット(カンボジア 首相)
石破 茂(内閣官房参与)
ガン・キムヨン(シンガポール 保健相)
グエン・チー・ズン(ベトナム 副首相)
エンリケ・マナロ(フィリピン 外相)
マーリット・サパルナビエフ(ウズベキスタン 財相)
マリウィール・モン・モハメド(マレーシア 首相補佐官)
西原 昭雄(世界銀行 副総裁)
金立群(アジアインフラ投資銀行(AIIB) 総裁)
陳鳳翔(中国国際問題研究院)
ムハマド・ユヌス(バングラデシュ グラミン銀行創設者)
アジア未来協会(AFA)